E3 2020に代替される6月のダイレクトは放送されない? 日本における在宅勤務対応の遅れ【2020.5.9更新】

E3 2020に代替される6月のダイレクトは放送されない? 日本における在宅勤務対応の遅れ【2020.5.9更新】

2020年5月9日:任天堂古川社長「ゲーム開発に対するリモートワークの影響は大きい」追記

毎年6月に開催される世界最大級のゲームイベント「E3」。任天堂はこのE3内で毎年ニンテンドーダイレクトを放送していましたが、今年は新型コロナウイルスの影響でE3のイベント自体が開催中止となりました。

E3公式サイト

E3 2019 Nintendo Direct

イベントが中止となったものの、E3 2020参加企業であったMicrosoftやUbisoft、Limited Run GamesはE3に代わる独自のデジタルイベントを計画中しており、当然、任天堂もE3 2020で放送予定だったであろうニンテンドーダイレクトを6月に通常のニンテンドーダイレクトとして放送すると思われていました。

しかし、VentureBeatの記事によると、任天堂は6月にニンテンドーダイレクトを放送しないことをゲームを開発している関連企業に伝えているといいます。

VentureBeat – No Nintendo Direct planned for June due to work-from-home hurdles

6月にニンテンドーダイレクトが放送されない理由として、新型コロナウイルスによる在宅ワークに任天堂をはじめとする多くの企業が対応できていないことが挙げられています。

任天堂は新型コロナウイルス感染拡大防止の対策として、時差出勤やテレワークを行っていますが、ワシントンポストのSimon Denyer氏によると、日本の多くの企業では1990年代からほとんどIT技術、戦略の更新がされていないとという。依然としてFAXを使用し、クラウドツールやビデオ会議ツールがほとんど利用されていないこと、自宅にパソコンやネットワーク環境など、在宅勤務に必要なツールがそろっていないこと、対面での会議が重要視される文化であることなど、日本でのテレワーク対応の遅れが指摘されています。

VentureBeatは夏の終わりごろまで次回のニンテンドーダイレクトがずれ込むかもしれないとしています。

任天堂古川社長「ゲーム開発に対するリモートワークの影響は大きい」

任天堂の古川社長によると、リモートワークでのゲーム開発ではできることが非常に限られてしまい、影響は甚大だという。

古川氏:ゲーム開発におけるリモートワークにつきましては、やはりできることが非常に限られますので影響は大きいと考えています。当社は日本だけにとどまらず、世界中に開発パートナー企業様や開発拠点があります。まず影響が出たのは、在宅勤務が先行して始まった欧米の拠点で、 その後、日本でも在宅勤務に切り替えました。日本の場合はリモートワークでの開発環境が以前からあったわけではありませんので、開発に対する影響は大きいものがありますが、そういった状況でも徐々に、リモートワークでできること、できないことの見極めや、できることに関してはどこまで進められるかという経験等を積んでいます。ゲーム開発に対する影響については、ハード、ソフト両方において、リモートワークを継続する期間が長期化すればするほど、大きくなる可能性があることをご理解いただきたいと思います。

任天堂 – 2020年3月期質疑応答

任天堂は未発表の新作ソフトの発売も控えているとしていますが、新型コロナウイルスの影響の長期化によって、その発表や発売が延期される可能性も出てくることでしょう。

古川氏:ソフトにつきましては、発表済みのタイト ル以外にも当期に発売予定のソフトはあり、それらを含めたうえで業績予想を立てています。 ただし、現在、当社および協力会社様では多くの社員が在宅勤務をしており、(在宅では)社内とは開発環境が異なることから、影響が長期化した場合は、現在の計画通りにソフトを発売することが難しくなる可能性があります。現時点では、計画通りにソフトが発売できるという前提で業績予想を発表しています。

任天堂 – 2020年3月期質疑応答